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184鞍目 私ができる最高の贅沢 [第4章 再び駆歩練習編]

 2005-09-05(Mon) ピクニック 通算184鞍目
■私は気がついてしまった。
もし駆歩クラスで【主席】が配馬されても、気持ちの上で乗ることはできないだろうなと。
彼の体調の悪い日が続いている。
少し元気になって軽いレッスンに出ても、次の日には悪化。
飼いは食べていても、どんどん骨張ってきている。
■クラブに行くと内心恐れていたことが現実になっていた。
「このところ元気だし、今日は涼しいし…」
「レッスンの内容はもちぇさんにまかせますから」
確かに以前〈並足フリーラン〉にしたこともあります。が、
何も知らなかったら「わーい、主席だ」と喜んで乗っただろう。
でも、今は乗れない。
レッスンをキャンセルするか、配馬に文句をつける方法もある。
そうなれば【主席】の運動の機会がなくなる。
療養のためとはいえ、何日も馬房の中で過ごせばストレスもたまるだろう。
レッスンをしない日が続けば、お荷物扱いになってしまう。
■私ができる最高のわがまま、贅沢を決行した。
「レッスン料は払います。でもレッスン時間は私の好きにさせて下さい。」
「今日は【主席】とピクニックに行きます!」
これまで、馬の世話の修行をしてきてよかった。
回りの手を煩わせずに放牧してその後の手入れをすることができる。
■さっそく、林に囲まれて周囲に草葉がたっぷり生えている丸馬場に彼を引いていった。
鞍も頭絡も付けずに馬場に向かうので、自由時間だとわかったのだろう。
彼の歩みが軽い。
「さあ、どうぞ」
【主席】の無口を外して、馬場の入り口を閉める。
私は馬場周囲の土手に腰掛けて彼を眺めることにした。
彼は、中央まで歩いていきあちこちの砂の匂いをかぎ出した。
そして、お気に入りの場所を見つけると慎重に前肢そして後肢を折り、ごろんと寝転がった。
「ぶっふっ」と声を上げて、ごろんごろんと砂浴びをする。
無防備にお腹をさらけ出している。これはまるで犬のよう。
身体半面にたっぷり砂を塗り付けている。
やおら「ヒンッ」と鳴いて起き上がり、ものすごい勢いで跳ね回る。
後肢蹴り、左右。ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ。
方向転換して駆け出す。
首を伸ばして、鼻先から尾の先まで一直線で駆け抜ける。
なんと!美しきかな!
まるで大理石の彫刻。
いつもおとなしくつながれている姿しか見たことがなかった。
こんな命の輝きを目にするなんて。
「ああ、元気が残っているのね」「それがあなたの姿なのね」とホッとした。
■ある程度駆け回ると落ち着いて、土手の草を食み始めた。
私は土手の芝に腰を下ろして、向かい側の彼を眺める。
首を伸ばしてたゆみなく口を動かす。
上に下に草をちぎりながら、土手沿いにだんだん近づいてくる。
「いそがなくていい。ゆっくり今ある所の草を味わってちょうだい」
雲が流れて薄日が射してくる。木漏れ日が砂の上におちる。
のんびり草を食む馬。
彼は私がここにいることをちゃんとわかっている。
(恐れているわけでもなく、無視しているわけでもない)
私と馬が共存する時間。
「こんな時が過ごせてよかった…」
そして、【主席】は私のもとまでやってきた。
土手に投げ出した足先の匂いをかいだり、膝に鼻先をすりつけたり。
私は、ちょうど手元に生えていたタンポポを一株抜き取って差し出す。
「そうそう、これこれ」と彼は待っていたかのようにもぐもぐと食べる。
ああ、ほんとうにピクニックだ。
■こうやってレッスン枠の45分。この上ない贅沢な時間を楽しませてもらった。
無口を手にして【主席】の名前を呼びながら立っていると、彼の方から歩み寄ってくる。
「楽しかったね、さあ帰ろう」と言うと
自分から無口に首をいれる。
首筋をポンポンとたたくと「あったりまえよ」とバツが悪そう。
最後に軽く運動。
ホルダーのリードをとって大股の並足で歩かせる。
馬と人が並んで馬場の砂をける。
私の方が先に息が上がってしまった。
「はあはあ」する私を「ふっ、ふっ」と鼻息で励ましてくれる。
一緒に歩いてくれたんだね。ありがとうね。私はしあわせでした。


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185鞍目 軽い運動 [第4章 再び駆歩練習編]

 2005-09-07(Wed) ビギナークラス 通算185鞍目
■今日はスタッフの関係で、駆歩クラスがとれない。
最近は騎乗するより、馬の健康状態に一喜一憂している状況なので、
楽しく乗れるビギナークラスが丁度いい。
■「さて、今日はどの馬かしら」と配馬表をのぞくと空欄。
「もちぇさん、お好きな馬でいいですよ」って、
私はプラチナ会員かね?(そんな会員いません)
前回のワガママ狼藉がたたって「好きにやらせておけば…」と見放されたかも。
それならそれで、
このところ生気を取り戻してきた【主席】に軽い運動が必要かもと思い至る。
「どうでしょうか?【主席】の最近の調子なら少し乗って運動した方が…」
「はい、それがいいですね」と即決。
■まるで【主席】を自馬にしているような気分。
台風の影響で他の会員がほとんど来ていないからできる話なのだ。
■ビギナークラスは、軽速歩で歩度を伸ばしたり縮めたり。
巻乗り、半巻きの図形を書いたり。
部班の先頭で一定のペースを保って、きちんと誘導することが求められる。
■内心ひやひやしながら鞍をまたぐ。
足元はふらついたりしていないだろうか?
角張った身体に鞍ずれができたりしないだろうか?
そんな心配をぬぐい去るように、軽やかに歩をすすめる【主席】
扶助は軽く出しただけでわかってくれる。
行き先に視線を向けただけで方向転換ができる。
■途中、教官から「膝下が漕いでいるので定位置に」と注意される。
鐙をふむ足裏に、なるべく小指側を意識する。
身体の軸がぶれないように背筋・腹筋をしっかり使う。
肩から肘までがすとんと落ちるように力を抜く。 など、
軽速歩の基本を丁寧になぞっていくと、
「よくなりました、それでいいですよ」とOKがでる。
「気持ち良さそうに走ってますね、馬も人も」と一番嬉しいお褒めの言葉ももらえた。
■終わり近くになって、やや【主席】のペースが乱れ始めた。
足元がふらっとして、こちらが焦る一瞬もあった。
いざとなったら飛び降りてでも負担を減らそうと思ったが、持ち直してくれた。
私は【主席】のまん中に乗って彼の動きに着いていくことだけに心を砕いた。
無事 45 分間のレッスンが終わった。
■鞍下にうっすら汗をかいて、呼吸の乱れはない。
ほっとひと安心。
教官は「さすが主席、肢の運びのきれいなこと! やっぱりいい馬ね〜」と感想。
そうなんです、彼の走る姿はこのクラブの宝です。


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